目黒区 都立大学駅前 すみクリニック 皮膚科・アレルギー科
自費診療
生まれてくる赤ちゃんのために先天性風疹症候群発生防止対策として
風疹抗体検査および予防接種について
~平成26年4月1日から助成制度がかわりました~
風疹が流行しています!
平成25年には、成人男性を中心として全国的に風疹の流行がみられました。
本来、風疹は春先~夏に流行する疾患ですが、先天性風疹症候群発生リスクを避けるために風疹の抗体価が不十分な妊娠希望の女性、妊婦さんのご家族には予防接種を受けることが勧められています。
また、周りの人から感染しないようにする十分な注意が必要であり、職場や家族での感染防止を心がけるようにして下さい。
平成24年の報告では、首都圏ならびに京阪神での発生が多く、20~40歳代男性や20歳代女性に多く見られるようです。
風疹が流行している理由
風疹ワクチンの定期予防接種は、昭和52年8月から女子中学生を対象に開始されたものの、平成5年4月に中止になっています。(平成元年4月からは麻疹・おたふくかぜ・風疹混合(MMR)ワクチンを選択している方もいます)
予防接種法の改正に伴い、平成7年4月からは生後12~90ヶ月児と中学生(期間限定)に予防接種されるようになりましたが、任意接種であることもあり接種率は低くなっています。
平成23年度の国の調査によると、20~40歳代男性の15%(20代:8%、30代:19%、40代:17%)が風疹に対する抗体を持っていなかったとされます。また、20~40歳代女性では4%が風疹に対する抗体を持っておらず、11%の人では感染リスクのある抗体価であったということです。
風疹とは?
俗にいう「三日ばしか」です。
風疹ウィルスが唾液などの飛沫感染もしくは接触感染により上気道に侵入してリンパ節に感染することによって起こる発疹の出る急性感染症です。春先から初夏にかけて、3~10年ごとに流行します。潜伏期間は2~3週間です。
主な症状としては、まず全身のリンパ節(特に耳の後ろや頚部)が腫れます。この腫れは数週間続きます。ただし、リンパ節が腫れてこない場合もあり、このときは突然に発熱したり発疹が出たりすることで始まります。リンパ節が腫れた数日後から、軽い痒みを伴う丘疹性紅斑と呼ばれる発疹が全身に広がってきます。このときに発熱も伴いますが、それほど高熱にならないことが多いです。また、この発疹の特徴(麻疹と違う点)としては、発疹同士が孤立していて、3~5日で落屑や色素沈着を残さずに消えることです。
また約50%の人では口腔内の口蓋というところに点状出血点がみられることもあります。
合併症としては、脳炎や髄膜炎、血小板減少性紫斑病、関節炎が知られており、妊娠初~中期の妊婦さんが感染すると生まれてくるお子さんに先天性風疹症候群を起こすこともあります。
治療は特になく、対症療法が中心です。
先天性風疹症候群とは?
風疹に抗体を持たない妊婦、特に妊娠初期の女性が風疹にかかった場合、胎児が風疹ウィルスが感染し、白内障、先天性心疾患、難聴、精神や身体の発達の遅れ、などといった障害をもった赤ちゃんが生まれる可能性があり、これらの障害を先天性風疹症候群と呼びます。
先天性風疹症候群をもった赤ちゃんは、これら全ての障害を持っているとは限りません。また、その障害に気づくまでに時間のかかることもあります。
先天性風疹症候群の発生を予防するために
妊婦に風疹の感染を防ぐことにつきます。
予防接種を受けることによって、妊娠を予定されている方であれば妊娠中に風疹にかかることを予防できますし、妊婦以外の方(妊婦の夫、お子様、同居家族、職場の方々など)も妊婦に風疹をうつしてしまう危険を予防することができます。
ただし、妊娠中の方は風疹の予防接種を受けることはできません。したがって特に流行地域においては、抗体を持たない、もしくは感染の危険のある低い抗体価の妊娠中の方は、人混みを避けたり不要不急の外出を控えるようにして下さい。
ワクチン接種について
ワクチン接種を受けた方のうち、95%以上の方が免疫を獲得し、風疹を予防することができるとされています。
また、厚生労働省では、風疹抗体価が低い方は麻疹(はしか)の抗体価も比較的低い傾向が見られることから、麻疹対策のためにも風疹の予防接種を受けられる際にはMRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)の接種を勧めています。
ワクチン流通の実情としては、風疹の単独ワクチンの需要量が例年少ないため、流通量自体が少なく、実際に入手することは困難です。一方で、MRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)の供給量は十分であり入手しやすくなっています。
接種の助成について
平成25年度は目黒区の要請に対応し、先天性風疹症候群対策の緊急実施に協力してワクチン接種を行っておりましたが、平成26年4月1日から助成の内容が変更されています。
目黒区では、先天性風疹症候群の予防を目的として、風疹の抗体検査を希望する目黒区内に住所を有する(住民票がある)19歳以上の方で、妊娠を希望している女性、妊娠を希望している女性又は妊娠している女性と同居しているパートナーの男性(ただし、原則としてこれまでに風疹に罹患したことがなく、また風疹の抗体検査及び予防接種を受けたことがない方に限る)を対象とし、こうした要件を満たした方に最初に風疹抗体検査を行い、その結果、抗体価が不十分な場合にMR又は風疹予防接種を行います。こうした検査ならびに接種費用を全額助成することになっています。
助成対象外の方でも抗体価を調べたり、ワクチン接種したりすることはできます。ただし、保険外診療による検査や接種となることをご了承下さい。
■助成対象外の方
風疹抗体価検査 6,000円(税別)
MRワクチン(風疹麻疹混合ワクチン) 10,000円(税別)
風疹ワクチン 6,000円(税別)