目黒区 都立大学駅前 すみクリニック 皮膚科・アレルギー科
自費診療
帯状疱疹予防のためのワクチン接種~帯状疱疹後神経痛で悩まないために~
帯状疱疹は、たいていの方が子供の頃にかかったことのある水ぼうそうが潜伏感染していて、体力の低下や過労、病気、老化などでウィルスに対抗する抗体の力が弱くなったときに、潜伏していた神経節の神経に沿って皮膚や神経にダメージを与える病気です。
帯状疱疹にかかってしまうと、抗ウィルス薬によって帯状疱疹自体は治りますが、後遺症として帯状疱疹後神経痛になってしまうことも多くあります。
帯状疱疹にかかると神経が損傷するので、皮膚症状が治った後でも、場合によっては数年以上痛みが残ることがあり、これを帯状疱疹後神経痛といいます。
50歳以上では帯状疱疹を発症した人のうち、約20%が帯状疱疹後神経痛になるといわれており、さらに高齢者ではその確率が高まるとされています。
この帯状疱疹後神経痛になってしまうと、局所麻酔薬による神経節ブロック注射が行われたり、様々な内服薬を投与することになります。効果があって改善することも多くありますが、残念なことに場合によってはそれらが有効でないケースもあり、医療の現場で問題になっています。
帯状疱疹後神経痛は、神経痛とはいえ、特に高齢者などではこの神経痛のせいで鬱(うつ)症状をきたしたり、場合によっては食事もとれないほどになることもあったりするほど、実際にこの帯状疱疹後神経痛になってしまわれた方は大変な苦労をされています。
したがって、帯状疱疹後神経痛を防ぐためにも帯状疱疹にかかること自体の予防が大切であると考えられています。
◎帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛の予防にはワクチンが重要

日本で開発され1988年に認可されている水痘ワクチンを、わが国では2016年より50歳以上の帯状疱疹予防の目的で接種できるようになり、当院でも認可当初より行ってまいりました。 水痘ワクチンは、生ワクチンであり、生きている弱毒水痘ウィルスを含んでいます。弱毒ウィルスとは、そのウィルスに感染したとしても、きちんと免疫を作ることができて、しかもほとんど症状を示さないことを意味しますので、非常に安全なものです。
この水痘ワクチンを接種することで、帯状疱疹にかかる率が51.3%減少したり、帯状疱疹後神経痛の発生率も66.5%減少したり、帯状疱疹自体の重症度も61.1%減少するとされています。 また、わが国の水痘ワクチンの力価は、米国で使用されている水痘ワクチンの力価より高く、小児用の水痘(水ぼうそう)の予防目的で接種される水痘ワクチンがそのまま帯状疱疹予防に用いられてきました。 ただし、生ワクチンということは、免疫不全の方に接種することはできない欠点もありました。
◎新しいワクチンとしてのサブユニットワクチン(商品名:シングリックス)

免疫不全の方に接種できない欠点を克服するために開発されたのがサブユニットワクチンです。日本では2020年1月から発売されています。
このワクチンは免疫を獲得するために必要な抗原のみ含んでいます。
日本を含むアジア、欧米で行われた臨床試験では、帯状疱疹にかかる率が約2~10%にまで減少したり、帯状疱疹後神経痛の発生率も0~約15%にまで減少するという驚くべき高い効果が示されています。 ただし、軽度~中程度で一過性のものとはいえ、副反応の発現率も高いことが分かっています。
◎サブユニットワクチンの接種は2回必要です

筋肉内注射を2ヶ月以上あけて、遅くとも6ヶ月までに2回目の接種を行う必要があります。
◎水痘生ワクチンとサブユニットワクチンの比較
付記1)2023年6月26日の追加承認により、疾病または治療による免疫不全や免疫機能低下またはその可能性のある方を含め、帯状疱疹を発症するリスクが高いと考えられる18歳以上の成人にも接種対象が拡大されています。
◎サブユニットワクチンの副反応について
サブユニットワクチンは非常に高い予防効果を示す反面、ほとんどの場合で数日でおさまるとはいえ、局所性の副反応の発現率は81.5%、全身性の副反応の発現率は66.1%と、有害事象が多く認められる欠点もあります。
(グラクソ・スミスクライン(株)提供パンフレットより)
◎水痘生ワクチンとサブユニットワクチンの価格
水痘生ワクチン | サブユニットワクチン (シングリックス) |
8,800円(税込) | 1回目、2回目ともに 22,000円(税込) <計44,000円(税込)となります> |
◎おわりに
当院では、帯状疱疹にかかったことのある患者様の配偶者やご家族、お知り合いが関心をお持ちになって、ワクチン接種を希望されることが多いようです。これを機会に接種のご検討をされてみてはいかがでしょうか。
なお、一度受診いただいた上で接種する予約を取らせていただいておりますことをご了承下さい。