目黒区 都立大学駅前 すみクリニック 皮膚科・アレルギー科
保険診療
円形脱毛症
円形脱毛症は、広く知られているその名の通り、頭部や眉毛、睫毛、ヒゲなどの体毛が特定の部分だけ抜けてしまう病気です。
決して特殊な病気ではありません。人口の1~2%がかかる可能性があり、比較的一般的な病気であるといえます。この症状は老若男女を問わず生じますが、30歳までの若い人に多いようです。
円形脱毛症といっても、実は色々なタイプに分けることができます。
比較的小型の脱毛している部位が1個(単発型)から数個以上(多発型)ある通常型、頭髪のほとんどが脱毛してしまう全頭型、頭髪以外の体毛も脱毛する汎発型、側頭部や後頭部の生え際に沿って脱毛する蛇行型に分類できます。
通常型でも、特に多発しているタイプでは大型の脱毛斑を作ってしまう場合があったり、頭部だけの脱毛だと思っていても注意深く観察すると、眉毛や睫毛、ヒゲ、体毛までも部分的に脱毛していることがあります。
原因は?
一般的には円形脱毛症はストレスが原因だと言われていることが多いようです。しかし、今まで様々に行われてきた研究によると、一概にストレスが原因とはいえないようです。ストレスは原因というよりも引き金となっていると考えるべきであって、現在では円形脱毛症は「自己免疫反応」によるものであるという考え方が主流になっています。
「自己免疫反応」とは、本来は外敵に対して発揮されるべき免疫反応が、何らかの原因で自分自身の体に向かって起きてしまうことをいいます。ただ残念ながら現在の医学では、なぜこのような免疫反応が起こってしまうのかは解明されていません。
ただ、経験的にいえることとして遺伝するわけではありませんが、「かかりやすい体質(遺伝的素因)」があるだろうとは考えられています
治療方法、症状の経過
脱毛している範囲が小さく、数も少ないという症状の場合は、本人も気づかないうちに自然に治ってしまうこともあります。とはいえ、急に症状が悪くなったり、長期にわたって症状が続いていたり、脱毛している範囲が大きかったりすると、治療することが必要です。
残念なことに、円形脱毛症という病気は一度治っても何らかのきっかけがあると再び症状が出てきてしまうこともあります。
治療方法としては、様々な方法があります。
塗り薬としては、局所の炎症を抑えるステロイド(副腎皮質ホルモン)や、脱毛部の血流を増加させるつけ薬があります。注射薬も効果的で、脱毛局所に
ステロイド(副腎皮質ホルモン)を注射することもあります。飲み薬としては、抗アレルギー剤や、血行をよくする薬を使うこともあります。また、皮膚の中での免疫状態を改善するために医療用の特別な紫外線をあてる治療を行ったり、人工的にかぶれをおこさせる局所免疫療法も知られています。
特に脱毛の症状がひどいときには、皮膚科専門医の管理の下にステロイド(副腎皮質ホルモン)の飲み薬や点滴を行うこともあります。
この他に、慢性的な病気ですので、ウィッグ(かつら)を活用することも精神的な余裕を持つ上で大切なことといえます。
毛以外の症状や関係する病気について
症状が激しかったり、経過が長くなっている方の中に、爪がもろくなったり、濁ってきて水虫(白癬)と間違えやすくなっていたり、点状のデコボコができることが知られています。
関係している病気としては、アレルギー疾患としても有名なアトピー性皮膚炎があります。アトピー体質をもっている方は、そうでない方に比べて円形脱毛症にかかりやすいとされます。
この他に、白なまずとして知られる白斑や、自己免疫性の甲状腺の病気、膠原病も関連性があるとされていて、症状に応じて検査することもあります。
間違えやすい病気としては、抜毛癖(トリコチロマニア)や男性型脱毛症(AGA/エージーエー)があります。トリコチロマニアは特に子供にみられることも多く、精神的ストレスが原因です。部屋の中に髪の毛がたくさん落ちているかどうかなども重要なチェックポイントとなります。男性型脱毛症は最近では有効な飲み薬や塗り薬が開発されています。皮膚科専門医ではそうしたことにも的確に診断し対応ができますので、一人で悩み込まずお気軽に皮膚科専門医までご相談されることをおすすめします。
日常生活での注意事項
特に日常生活をおくる上での制限はありません。
髪の毛が抜けることを心配するあまり、洗髪をしないのはいけません。毛穴を清潔に保つことで、新しい毛の成長を促すことができますので、正しくしっかり洗髪しましょう。ただし、強くマッサージしたり、症状がひどいときに毛染めしたりするのは、毛にダメージを与えることになるのでお控え下さい。